【衝撃】FRBが250兆円のジャンク債を購入【わかりやすく解説】
こんにちは、カズです。
4月9日に以下の発表がありました。
米連邦準備制度理事会(FRB)は9日、新型コロナ感染拡大で打撃を受ける米企業や地方政府に最大2・3兆ドル(約250兆円)の資金供給を行うと発表しました。企業が発行する社債については債務不履行(デフォルト)の可能性が高い「ジャンク債」も購入する異例の措置を取ります。https://t.co/dzytDwEj9t
— 毎日新聞 (@mainichi) April 10, 2020
アメリカの中央銀行であるFRBが新型コロナ対策として250兆円のジャンク債を購入を決定しました。
この措置はリーマンショックの時も実施されなかった史上初の試みです。
この記事では内容をわかりやすく解説します。
本記事の内容
- ジャンク債とは
- 舞い降りる堕天使(Fallen Angel)
- FRBのバランスシート(総資産)が異常
3分で読めます。
ジャンク債とは
ジャンクとは“がらくた”という意味で、格付けBB以下の投資不適格といわれる債券をジャンク債(くず債)と呼んでいます。
つまり、信用度が低い債券ってことです。
信用度が低いとは
誰かにお金を貸すことを例に考えてみます。
- Aさん 働いていて月収20万円稼いでいる
- Bさん 無職。貯金を切り崩して生活している
2人から来月返すから5万円貸して!と言われたらどちらの方が信用できますか?
Aさんですよね。
Aさんは月収20万円稼いでいて返してくれそうだけど、Bさんは返ってこないかもしれない。
これが信用リスクです。
この場合、Aさんの信用度が高い、Bさんの信用度が低い、という表現になります。
格付けBB以下は信用度の低い投資不適格債
以下が格付けランクになります。
格付けの高い債券は安全なので利回りは低く、格付けの低い債券は利回りは高くなります。
BBB以上の格付けを信用度が比較的良好だと考えられる「投資適格格付け」、BB以下を信用度が低いと考えられる「投機的格付け」といいます。
格付けBB以下はハイ・イールド債ともいわれる
格付けBB以下の債権は信用度が低く、デフォルト(債務不履行)になる可能性が高いので利回りが高くなります。
このような債権をハイ(高い)・イールド(利回り)債といいます。
舞い降りる堕天使(Fallen Angel)
いきなり何?って感じですが、堕天使の話をします。
BBB以上の投資適格の格付けで発行された社債が、その後、社債を発行する企業の信用力の低下によってBB以下の投機的格付けに格下げされることを、「堕天使(Fallen Angel)」といいます。
天使 → 堕天使
急増する堕天使予備軍
欧米市場では、堕天使予備軍である投資適格最下位のBBB(トリプルB)格の社債の発行が急増しています。社債を発行する企業からすれば、投資適格で発行できれば比較的低い金利でお金を借りることができます。
また、BBB格の社債を購入する投資家は、投資適格に投資しながらも、より高格付けの社債と比べれば、高めの運用利回りを得られる、という魅力があります。
つまり投資家にとってはこんなイメージ
コロナショックでフォード・モーター、デルタ航空が堕天使に
格付け会社のS&Pは3月25日、コロナ危機で自動車販売急減にあえぐフォード・モーターの格付けを「トリプルBマイナス」から一段階下の「ダブルBプラス」へ引き下げました。
他にもこんな企業が堕天使になっています。
格付けBBBからジャンク債に格下げされた会社
自動車メーカー | フォード・モーター |
石油メーカー | オキシデンタル・ペトロリアム |
空港メーカー | デルタ航空 |
百貨店メーカー | メイシーズ |
天使はいいけど堕天使はダメ
投資機関のルールでは投機的格付けには投資できないルールとなっていることが多いです。
もし債権の格付けが下がって、BB以下のジャンク債になった場合、投資家は保有している社債を強制的に投げ売り(fire sale)するしかありません。
これが続くと売りが売りを呼び債券市場が暴落します。
それを恐れたFRBは今回新型コロナウイルスの経済支援策として、新たに最大2兆3000億ドル(約250兆円)を供給する一連の措置を発表したわけです。
250兆円の中にはジャンク債の他にもローン担保証券(CLO)、商業用不動産ローン担保証券(CMBS)も購入対象となっています。
ローン担保証券(CLO)については金融危機への爆弾「ローン担保証券(CLO)」を徹底解説で詳しく解説しています。
FRBのバランスシート(総資産)が異常
こちらがFRBのバランスシートです。
FRBのバランスシート(総資産)とは、簡単いうと、FRBが保有している証券です。
今回のようにFRBが債券を買えば、バランスシート(総資産)が増えます。
不景気の株高
今回のような量的緩和は金融のマーケットに出回るお金の量を増やすので、お金がじゃぶじゃぶ状態になり、株価を下支えする効果があります。
だから、倒産とか不景気とか言われているのに株価が上昇するという不思議な現象が起こるんです。
FRBが損失を出せば基軸通貨ドルの信認が揺らぎインフレに?
正直なところ、FRBの異次元の量的緩和が今後どのような影響を与えるのかはわかりません。
ただ、グラフを見ても前代未聞で異常なことだけは確かです。
もしFRBが買い取ったジャンク債がデフォルト(債務不履行)した場合、損失が出ます。
※会社が倒産したら、FRBが損失を被る
大量にデフォルトしたら基軸通貨ドルの信用が低下し、とてつもないインフレ(ハイパーインフレ)になるという予想もあります。
とはいえ、現時点では何とか回避できているので大丈夫そうですが。。。
今後の動向を見守るしかなさそうです。