リーマンショックとコロナショックの違いとは【金融危機と経済危機】

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「リーマンショックとコロナショックの違いについて知りたいなぁ。金融危機と経済危機って何が違うの?」

こういった疑問に答えます。

先日、麻生太郎財務大臣が「みんな銀行にお金が余っている。リーマン(・ショック)の時と違うんだよ。リーマンの時、マーケットにキャッシュがなくなったんだから。」と発言し、炎上しました。

炎上の理由としては、「麻生さんと違って一般国民はお金が余ってない。コロナウイルスの影響でお店にお客さん来なくて潰れそうなのにお金なんてあるはずない」といった意見があったからです。

当然ですよね。

でも、麻生さんの発言は経済学的には正しいです。

この記事では、リーマンショックとコロナショックの違いについて深堀りします。

本記事の内容

  • 麻生大臣の発言を整理
  • リーマンショックとは【金融危機】
  • コロナショックとは【経済危機】

3分で読めます。

麻生大臣の発言を整理

asou-taro

麻生大臣の発言を重要な部分だけ整理します。

ちなみに、この議論は新型コロナウイルス経済対策で、現金給付案や商品券配布案があった時に国民全員に一律給付するんじゃなくて、お金に困っている特定の人にだけ給付しようというものです。

この記事を書いている4月26日時点では、方針が一転し、『国民全員に一律10万円を給付する』という方向で調整が進んでいます。

麻生太郎財務相(発言録)を意訳

一律現金給付をやった場合、経済活動じゃなくて貯金されてしまう可能性がある。
例えば、商品券にしたら貯金されずに使ってくれて、経済が循環する確率が高い。
リーマンショックの時と違う。リーマンの時は金融市場(銀行)からお金がなくなった。
今回のコロナショックはみんな銀行にお金が余っている。経済が循環する対策をすれば解決する

つまり、麻生さんが言いたいことはこうです。

発言のポイント

    リーマンショックの時は金融市場(銀行)からお金がなくなった = 金融危機
    コロナショックの時は経済活動が止まった = 経済危機

リーマンショックとは【金融危機】

LehmanBrothers
リーマンショックとは、2008年9月の米の大手証券会社リーマン・ブラザーズが破綻したことによる世界的な金融危機のことです。

当時は米住宅ブームを背景に、信用力の低い借り手向けのサブプライム住宅ローンが急増し、それを証券化した金融商品を多くの金融機関保持していました。

しかし、住宅ブームの収束とともに返済延滞が発生すると、証券化商品の価格が暴落して、金融機関は巨額の損失を被りました。

つまり、リーマンショックで損失を被ったのは金融機関です。

お金の供給量を増やして資金不足を解消

リーマンショックによって金融機関は巨額の損失を被り、市場に出回るお金が不足しました。

お金が不足しているので、世界各国の中央銀行(FRBなど)は「可能な限り多くのお金」を供給しました。

中央銀行の財政政策

  • ①中央銀行が金利を引き下げる
  • ②中央銀行が銀行の国債を買い上げる
  • ③新しいお金を印刷する(反則ワザ)

日本の例で解説します。

①中央銀行が金利を引き下げる

金利が下がると、銀行は日銀から低い金利で資金を調達できます。
銀行は企業や個人に対して低金利お金を貸すことが出来ます。
結果として、お金が個人消費や設備投資に回りやすくなります。

②日銀が銀行の国債を買い上げる

銀行はお金(現金)がなくて困っています。
そこで、日銀は「これくらいの量の国債をこれくらいの金額で買いますよ~」と告知します。
その後、希望する銀行は日銀に国債を売って現金を手に入れます。

※現金は別に今いらないよ~ていう銀行は国債売らなくていいです。
 国債を持っていれば利子がつくので儲かります。

結果として、お金が銀行に渡り資金調達できます。

③新しいお金を印刷する(反則ワザ)

日銀が通貨(円)を発行して政府の国債(国の借金)を買うことです。
先ほどと同じく国は現金を手に入れ、国民に現金給付するといった政策を打てるようになります。

日銀はいくらでも自由にお金を生み出せる「打ち出の小槌」を持っていると言われています。
その「打ち出の小槌」でお金を生み出し、国の借金を埋めます。

まさに魔法ですね。

お金は枚数が限られているから価値があるわけで、いくらでも刷ってしまったら紙幣価値が下がります。

あまりやり過ぎると、紙幣の信用力が低下して「インフレ」になります。
最悪の場合には「ハイパーインフレ」が発生、紙幣が紙切れになり貨幣経済が崩壊してしまう可能性もあり、「禁じ手」と言われています。

ただし、専門家の意見では200~300兆円刷ってもビクともしないのでドンドンやれ!という意見もあります。僕はその意見に賛成です。

そのあたりについては国の「休業補償」財政破綻を招くか?国政の嘘を暴露【徹底解説】を読んでいただければと思います。

コロナショックとは【経済危機】

COVID-19
コロナショックとは、2020年1月頃から発生した新型コロナウイルス蔓延による経済危機です。

特筆すべきは感染力の強さで、すでに多くの国や地域で人やモノの行き来が停滞しています。
(国交封鎖・都市封鎖)

でも、金融機関は今回資金不足になっていません。

それなのに、アメリカ等ではリーマンショックと同じような金融政策を実施しています。

中央銀行の財政政策

  • ①中央銀行が金利を引き下げる
  • ②中央銀行が銀行の国債を買い上げる
  • ③新しいお金を印刷する(反則ワザ)

いま銀行は余剰資金を抱えて、お金じゃぶじゃぶ状態です。

困っているのは銀行(金融)じゃなくて、個人経営のお店や会社(経済)です。

③新しいお金を印刷する(反則ワザ)で生活保障を!

①中央銀行が金利を引き下げる、②中央銀行が銀行の国債を買い上げる、といった行為は金融危機に対する政策です。

だから今回のコロナショックにはあまり意味がありません。
※コロナ騒動が落ち着けば、企業が活動を再開して効果を発揮しますが、、、

なので、当面の間は③新しいお金を刷りまくって国民の生活を保障する必要があります。

日本でも、『国民全員に一律10万円を給付する』といった政策を検討していますね。

是非ともこの政策を進めていってほしいところです。

集団免疫獲得かワクチン開発か

コロナウイルスに端を発する経済危機の根本解決は原因となる『ウイルス』に克服するしかありません。

克服の方法は2つです。

  • 集団免疫獲得
  • ワクチン開発

集団免疫の獲得は大抵の人がウイルスに感染して抗体を持ち、ウイルスと共生していく方法です。
もうひとつはワクチン開発です。

ワクチン開発には時間がかかるため、インフルエンザウイルスの薬である『アビガン』など既存の薬で症状が改善されないか検証が行われている状況です。

このコロナ騒動が一日でも早く終息すればいいですね。