日銀の追加緩和 国債購入制限撤廃とは【わかりやすく解説】
日銀の政策に興味がある人「日銀が追加緩和で国債の購入制限を撤廃したけど、どうゆうことなの?わかりやすく説明してほしい」
こういった要望にお応えします。
こんにちは、カズです。
4月27日、日銀が追加の金融緩和策として国債購入の制限を撤廃しました。
日銀、追加の金融緩和策を決定 「年間80兆円をめど」の国債購入の制限を撤廃
ただし、実勢では日銀が保有する国債残高の増加ペースは年10兆円強と大幅に下回っているので上限廃止は形骸化https://t.co/PDkNAm0MwZ
— kazu@政治経済×投資ブログ (@kazu63272809) April 27, 2020
この記事では「国債購入の制限撤廃」についてわかりやすく解説します。
3分で読めます。
国債とは
国債とは『国の借金』です。
国(政府)は借金をして国債を発行する事が出来ます。
国債は「満期がきたら、これだけ利子をつけて返しますよ」という権利が付いており、利子の分だけ儲かります。
国が潰れない限り元本割れするリスクはないので、安全な資産として銀行や投資家が購入しています。
国債を発行すると国民の借金が増える?
増えません。
国債は国民の借金ではありません。
国債は国(政府)の借金です。
じゃあ、誰が国(政府)にお金を貸しているのか?
それは国民です。
だから、国債は『国民から借りた政府の借金』ということになります。
国(政府)が国債を発行するとお金が生まれる
国(政府)が国債を発行するとお金が生まれます。
でもこの表現は厳密に言うと正しくないです。
正確には銀行が持っている国債を日本銀行が買い上げることでお金が生まれます。
わかりにくいので図で説明します。
お金が生まれる流れ
- 政府が国債を発行する
- 民間銀行が国から国債を買う
- 日銀が国債を買い取る
- 民間銀行は日銀からお金をもらう=お金が発生
今回は「3.日銀が国債を買い取る」と「4.民間銀行は日銀からお金をもらう」を行って、お金を生み出しますよーと言っています。
日銀の国債買い入れは希望する銀行が挙手するしくみ
まず、日銀は「これくらいの量の国債をこれくらいの金額で買いますよ~」と銀行に告知します。
これなら売った方がいいかも、と思った銀行は日銀に国債を売って現金を手に入れます。
※現金は別に今いらないよ~ていう銀行は国債売らなくていいです。
国債を持っていれば利子がつくので儲かります。
結果として、お金が銀行に渡り資金調達できます。
コロナ不況なのに企業は設備投資しようと考えるか?
いまはコロナ不況で借り手がいません。
借り手がいないのであれば、銀行はお金を持っていても意味がありません。
民間に借入れの需要がないので、いくら日銀が買入額の制限撤廃を唱えても銀行は国債を売らない、という判断になります。
これではお金を生み出されません。
銀行を通さずにやりとりした方が早くない?
ふと、疑問が沸きます。
銀行を通さず、国(政府)と日銀で直接やりとりした方が手っ取り早いと思いませんか?
残念ながら、国が新規発行した国債を中央銀行が直接買い取ることを禁止しています。(「国債の市中消化の原則といいます。)
なぜか?
政府が自由にお金を刷りまくったら、お金の価値が下がってハイパーインフレになるから。
ちなみにハイパーインフレとは、お金の価値が急激に下がって物価が上昇すること。
例)だいこんを買うのに10万円かかる
話を戻します。
今回の追加緩和の内容
今回の日銀の追加緩和は以下の3つです。
この中で注目される政策は日銀による国債購入制限撤廃だけです。
上限撤廃は口だけのパフォーマンス
今回の政策のは年間80兆円を上限とした国債購入の制限を撤廃し無制限に買い取る、というものです。
でも、昨年度の実績では年間の買入額が15兆円程度で上限に達していません。
だから、「無制限に買い取る用意がある!」と意気込んでも正直、言葉だけのパフォーマンスに過ぎません。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストが80兆円のめど撤廃についてこう言っています。
まだ買える枠は残っているので、撤廃したからと言って実際の効果はそれほどない。実質的には玉切れになっていて新たな効果が期待できる政策は打てなくなってきているということだと思う
引用:ブルームバーグ – 日銀が追加緩和、国債購入上限を撤廃-CP・社債「20兆円」
国債を発行しないとお金は増えない
くり返しになりますが、国債を新規発行しないとお金は増えません。
以下のツイートをみてください。
安倍首相「これまでにない規模の財政支出39兆円、事業規模108兆円、世界的に見ても、最大級の経済対策となりました」って言ってるけど、国債の新規発行はたったの17兆円だけ。
これじゃ日銀の国債買入上限撤廃もあまり意味がない😓😓😓https://t.co/e6bnpLdFUx pic.twitter.com/8htLxpGoTi— kazu@政治経済×投資ブログ (@kazu63272809) April 28, 2020
今回のコロナ対策としての国債の新規発行額は約17兆円ですが、海外に比べると少なすぎます。
いくら国債の買取上限を撤廃しても、そもそも国債が発行されていなければ意味ないです。
国民への現金10万円給付は12兆8903億円の財源を使う
補正予算案17兆円のうち、約13兆円が国民への現金10万円給付で消えることになります。
国民への現金10万円給付は賛成ですが、あと4兆円しか残りません。
お金が足りません。。。
だからもっと国債発行しないといけないですね。
まとめ
- 国債とは『国の借金』であり、『国民の借金』ではない
- 国債はお金を生むための装置
- 国債買取りの上限を撤廃しても、そもそも上限まで到達していないので効果薄
- 大胆な国債の新規発行とセットでやれば効果あり!
以上です。
最後までご覧いただきありがとうございました。